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日本商業株式会社と日商株式会社

 明治四十三年神戸に本社を置き、鈴木商店が取り扱う輸出入商品以外の物資を、輸出はドイツ人ポップに、輸入はラスペ出身の井田亦吉に委ねて発足した。その後、大阪に本社を移し綿花の輸入、綿製品の輸出を本業とし、永井幸太郎がこれを引き受けて主宰し陣容を整えた。この方面の貿易を開始し順調に進みつつあったのだが、惜しいことに昭和二年に鈴木が倒産してしまった。そのため、旧日本商業を改組承継して現在の日商株式会社が再興された。それは鈴木の海外経験のある若手で組織され今日に至っている。旧鈴木の貿易部の代わりだという訳である。この他、なお金子翁が経営を始めたものは非常に多く、いちいちこれを説明することは容易ではないから、左に翁の企画による主な事業の一覧表を掲げてその大要を示すことにする。